【ザ・タイガース】世界はまわる
1970年12月15日発売、アルバム『自由と憧れと友情』に収録。
ザ・タイガース2枚目のオリジナルアルバムにして、解散直前の最後のアルバム
(解散後に『サウンズ・イン・コロシアム』が発売された)。
僕は『ヒューマン・ルネッサンス』の聖書による人類創造の大コンセプトアルバム
としての完成度の高さには驚きましたが、この『自由と憧れと友情』の散漫さという
か、ジャンルを問わない自由な発想というのにも大変興味を持ちました。
特にその象徴的な楽曲であろうと思われるこの曲。サリーのバリトンの効いたそれ
でいてゆるーい感じのロックナンバー。大変自己中心的な詞とマッタリ感のあるメロ
ディとアレンジ。
タローの曲は『青い鳥』のようなメルヘンチックなイメージが強いのですが、こういっ
たロック調の曲を作ることができるのも才能の証ですよね。
タイガースが自由な発想で、自分たちのやりたい音楽、好きなようにやっている印
象が強いです。
僕はリアルタイム世代ではなかったので、このアルバムが発売された時期のことは
全く知りません。恐らく、タイガースの解散も世間に知られた後と思いますが(確かタ
イガースの解散は12月8日の日刊スポーツにすっぱ抜かれたと思います)、このアル
バムを手にされた当時のファンの方の心境は如何ほどだったのでしょうか。
多分、悲しくて聴けなかったかもしれませんね。でもそんな中でもこういった明るいロッ
クナンバーもあり、演奏も恐らくはサポートメンバーもついてのことだったとはいえ、単
なるアイドルバンドではない、ロックバンド・ザ・タイガースを表すには大変相応しい作
品だったのかと思います。もしもタイガースが解散せず、ジュリーが後年語っていたよう
な、クレイジーやドリフのようにグループを母体にそれぞれソロ活動を続けていたらどう
なっていたのでしょうかね?僕はそちらの方が興味があります。
この『世界はまわる』もレコーティング(歌入れ)風景が目に浮かんできます。サリーがエンディングに「サンキュー」という声、かっこいいですよね。