【ザ・タイガース】ラヴ・ラヴ・ラヴ
1969年12月1日発売。『君を許す』のB面であるが、両A面扱い。
スローバラード調のこの曲は如何にも60年代の終わりを告げるようなニューロックの
臭いがプンプンするようです。レコードジャケットもメンバーはサイケっぽい服装に、
サランラップなのかフィルムのようなもので覆われて演奏しております。ジュリーの
マラカスもカッコよく決まっておりますし、タローとシローのギターはテレキャスターで
イメージが強かったのですが、後期は違った種類のギターを抱えております。サリー
も当時の写真を見る限り、カールヘフナーのバイオリンベース以外にもリッケンバッカ
ーのベースも使っているのがわかります。
歌詞は安井かずみさんの大変シンプルなもの、
「時はあまりにも早く過ぎゆく、喜びも悲しみも全てつかの間」
「時はあまりにも早く過ぎゆく、ただひとつ変わらない愛の世界」
基本的にはこれだけですが、このシンプルな歌詞が初めて聴いた時に、何故だか
「おー、なるほど」と唸ってしまったのを覚えております。
この曲のライブ盤は『サウンズ・イン・コロシアム』、『フィナーレ』、同窓会の『A-LIVE』
と3つの異なるバージョンが聴けます。
『サウンズ・イン・コロシアム』と『A-LIVE』はほぼフルバージョンですが、『フィナーレ』
では、本当にタイガースとのお別れの曲となっております。最後のサビの部分のみ
演奏されておりました。きっと、当時武道館に駆けつけた少女たちは涙を流しながら、
”Lの字”をかざしていたのでしょうね。
ちなみにこの曲の全編で流れるハモントオルガンの音。これは当時ザ・ゴールデン・カッ
プスのキーボーディストだったミッキー吉野が弾いていたそうです。ご本人がある雑誌
のインタビューで答えております。確かにあの打楽器ぽいオルガンの弾き方はミッキー
のものですね。
70年代を向かえ、タイガースはその後解散へと突き進みます。皆さんは当時この曲をど
う受け止められましたか?