【ザ・タイガース】ヒューマン・ルネッサンス『帆のない小舟』
7曲目。トッポのボーカルはなんと3曲目です。リードボーカルのジュリーを差し置いて、
既に3曲のリードボーカルをとっております。
「ゆら、ゆーら、ゆら、ゆーら」の男性コーラスをバックにトッポのハイテナー・ボーカル
が冴え渡ります。
この「ゆら、ゆーら」のコーラスはどう聴いても、タイガースのメンバーのものではありま
せん。初めて聴いた時は、サリーとタローが担当しているのかなと思いましたが、明らかに
声質が違います。どこかのコーラス専門隊です。しかも無味乾燥した男性コーラス。
「帆のない小舟は、行方も知らないまま、波間を、 運命の間にまに、絶え間なく揺れている」
「何処へ行く、何処へ行く」
「Oh,God! Tell me God」
「帆のない小舟は、私の姿なのか、ひとりで、傷つき疲れて、海原を、何処へ行く」
詞はこれだけです。大変短く、単純ですが、人生の無力感や運命に晒され続け、先行きが
どうなるのか全くわからないという心の動きを表しております。
トッポのボーカルも、これでもか、これでもかと聴いている僕たちに訴えてきます。
この曲のテーマは多分『運命』なのでしょうか。
人生には色々な場面で『運命』に翻弄されます。
「こんな筈じゃなかった。本当はこんな人生なんて送っていないはずだ。」
人はいつもそう考えて生きているのではないでしょうか?
本当の理想って何なのでしょうか、現実の姿を受け入れられない自分がいること、自分の無
力さなんていくらでもわかっている筈ですが・・・。
上手く表現できませんが、『帆のない小舟』をヘビロテで聴くと、そんな思いに駆られます。