GS, I Love You !

ザ ・タイガースを中心にGSを語るブログです。暫くはシロー追悼特集を更新します。ブログ移動で過去のコメントは削除されました。よろしければ過去記事含めてコメントをください!

【ザ・タイガース】ヒューマン・ルネッサンス(完)『廃墟の 鳩』

既に楽曲解説は記事にしましたので、この曲のアルバムにおける役割及び全体の総括をしたいと思います。

作詞:山上路夫、作曲:村井邦彦リードボーカル:トッポ。

この曲のテーマは「平和」そして「復興」。

破壊された世界で一羽の白い鳩が飛び立つ。

生きる喜びを力強い歌声で訴えかけるトッポのボーカル。

再結成タイガースでは、やや力の抜けた、言い換えれば「リラックス」したボーカルを披露したトッポ。しかしこのアルバムのラストを飾る『廃墟の鳩』では力強くそして悲しみをも含んだボーカルを披露しています。

この『ヒューマン・ルネッサンス』は「タイガースの(ジュリー中心のタイガース)アルバム」というよりかは「トッポ中心のアルバム」もしくは「トッポのアルバム」といってもよいのかもしれません。ジュリーファン(僕自身もそうですが)にとっては寂しさもありますが、タイガースがジュリーというスーパースターを中心に据えたアイドル・バンドでないことを世に知らしめたのがこのアルバムであり、その後のトッポの脱退、シロー加入による新生タイガースの誕生、ニューロック、フォークロックへの傾倒、更にはPYGを経たジュリーのソロシンガー誕生などの大きな出来事の導火線、起点となるものだったのかもしれません。

壮大なテーマを基に制作された『ヒューマン・ルネッサンス』。大袈裟な言い方をすれば、ビートルズの『サージェントペッパーズ~』、ビーチボーイズ『ペットサウンド』の英米二大トータルアルバムへの日本側のアンサーがこの『ヒューマン・ルネッサンス』だったのだと僕は思っています。

残念なのはGSが歌謡曲の亜流だとか一過性の低俗なものとの風潮や認識が40年以上経過した今もあるという点です。

テクノロジー(音響技術や録音技術)やコミュニケーション(テレビやインターネット)の手段は今よりもずっと貧弱であり、今の若者世代には物足りなさを感じるのは当然であると思います。しかし、音楽を伝えようという強い意志。新たなものを生み出そうとするエモーショナルな力。GSをはじめとする60年代の音楽や文化が僕を虜にし、心を鷲掴みにする理由はそこにあるのかもしれません。

楽曲解説の記事の中で何度もしつこく述べておりますが、本当にロック好きな今の若い世代の方々に聴いて欲しい作品であると思っております。


次回以降、タイガースのもう一枚のスタジオ録音のオリジナルアルバムである『自由と憧れと友情』の楽曲を特集します。
南アW杯も佳境に入り、目が離せなくなりました。記事を書くのを暫くサボっておりましたが、少しずつ起こしてゆこうと思っております。